固定残業代
「残業代の計算を簡素化したいなぁ。」
そんな事を考えながら、毎月の給与計算を行っている方もいるのではないでしょうか。
簡素化するために残業代を定額で支払うという方法を取っている会社さんもあるのではないでしょうか。
「固定残業代」や「みなし残業代」など、呼び方はいろいろあるとは思いますが、
ここでは「固定残業代」と表記させていただきます。
固定残業代は、時間外労働の多い、少ないにかかわらず
毎月一定額を残業代として支払う方法です。
もちろんその一定額が残業何時間分に当たるかの定めは必要です。
例えば、時給1,000円のAさんが残業する場合、残業一時間当たり1,250円となるので、
仮に20時間分を固定残業代として決めて支払うのであれば、
Aさんの固定残業代は25,000円のようになります。
ちなみに、Aさんがもし1ヵ月残業が全く無かった月についてもこの金額を支払う必要があります。
では、いきなりですが問題です。
Aさんには毎月20時間分の固定残業代を支払っていますが、この月は25時間残業が発生した場合、
固定残業代を支払っているので、オーバーした5時間分は支払わなくていいのでしょうか?
答えは ✕ です🙅
法律に従って、固定残業代が算出される額を下回る場合には、その差額を支払う必要があります。
したがって、5時間分の支払いは固定残業代とは別に必要になります。
それでは、もう一問、
Aさんの前月の残業時間は15時間。
固定残業代として余分に5時間分を支払っているので、その分を翌月に持っていくことはできるのでしょうか?
これも、答えは ✕ です🙅
固定残業代として定めた額は、残業があってもなくても、毎月支払わなくてはなりません。
また、結局は、通常通り残業した時間を計算した額は必ず支払わなければならないので、
給与計算を簡素化できるといっても、労働時間の把握・管理は適切に行わなければなりません。
これを怠ってしまうと、未払残業があった・・・なんてことに発展しかねません😨
それに加え、本来残業代が発生しない月についても定額で手当を支払うことになるため、
費用が増加することが予想されます。
固定残業代を導入する場合には、メリット、デメリットを踏まえて、検討する必要がありそうですね。