「これ、やっておいて」
経営者が従業員に仕事を任せるとき、
つい、この一言だけで済ませてしまうことはありませんか?
もちろん、簡単な作業であれば、それでも問題ない場合はあります。
ただ、少し複雑な仕事や、会社にとって重要な仕事を任せるのであれば、
それだけでは不十分だと思います。
なぜなら、仕事を任せる前に、
経営者自身が「何を目指しているのか」「どこまで任せるのか」を
整理できていないことがあるからです。
すべてのものは2度作られる
僕が好きな言葉に、
「すべてのものは2度作られる」
というものがあります。
最初に頭の中や設計図の中で作られ、その後、実際の形として作られる。
家を建てるのであれば、いきなり工事を始めるのではなく、
まず設計図を作ります。
設計図がなければ、どんな家を建てたいのか、どこに何を配置するのか、
工事をする人も判断できません。
仕事も同じではないでしょうか。
経営者が頭の中で考えていることを整理し、それを従業員に伝える。
そのうえで、従業員が実際に仕事を進めていく。
つまり、従業員に仕事を任せる前に、
経営者が「設計図」を作っておく必要があります。
「これやっておいて」だけでは、丸投げになってしまう
例えば、
「この仕事、やっておいて」
とだけ伝えた場合、従業員は何を基準に進めればよいのでしょうか。
経営者の中では、
・こういう目的で
・こういう方向に進めて
・ここは大切にして
・この範囲までは判断してよい
という考えがあるかもしれません。
しかし、それが伝わっていなければ、
従業員は自分の判断で進めるしかありません。
そして、完成したものを見てから、
「そうじゃない」
「なんでこうしたの?」
「普通はこうするでしょ」
と言ってしまう。
これでは、仕事を任せたというより、丸投げに近い状態です。
従業員からすると、
「最初に言ってくれればよかったのに」
という話になってしまいます。
任せる前に、経営者が整理しておきたいこと
仕事を任せる前に、少なくとも次のことは整理しておきたいと思います。
・何のために行う仕事なのか
・どのような方向を目指すのか
・何を基準に判断するのか
・どこまで従業員が決めてよいのか
・どのような場合に相談してほしいのか
すべてを細かく指示する必要はありません。
むしろ、細かく指示しすぎると、
従業員が自分で考える余地がなくなってしまいます。
大切なのは、従業員が迷ったときに判断できるような
「軸」を伝えておくことです。
設計図があるからこそ、現場の人は安心して仕事を進められます。
設計図以上のものは、基本的には作れない
もちろん、従業員が自分で工夫することで、
経営者が想像していなかった良い結果が生まれることもあります。
それは、とても素晴らしいことです。
ただし、そのような工夫や発展も、
最初に伝えた目的や方向性があってこそ生まれるものではないでしょうか。
最初の設計図が曖昧であれば、完成するものも曖昧になりやすい。
反対に、経営者の考えが整理されていれば、
従業員はその範囲の中で、自分なりの工夫をすることができます。
だからこそ、
「従業員に任せる前に、経営者自身が設計図を作る」
ということが大切なのだと思います。
任せた仕事の責任は、経営者が持つ
そして、仕事を任せるのであれば、
その結果についての責任も経営者が持つ必要があります。
うまくいったときは、従業員の成果です。
従業員の頑張りや工夫を、しっかり認めるべきです。
一方で、うまくいかなかったときに、
「任せた従業員が悪い」
「言われたとおりにやらなかった」
と責めるだけではいけません。
・そもそも、伝え方や設計図に問題はなかったのか。
・目的や判断基準は、きちんと共有できていたのか。
・途中で確認する機会を設けていたのか。
経営者自身も振り返る必要があります。
もちろん、従業員側の問題がある場合もあります。
ただ、失敗を誰かの責任にして終わらせるのではなく、
「なぜうまくいかなかったのか」
「次はどうすればよいのか」
を一緒に考えることが、組織を強くしていくのだと思います。
「他責」ではなく「自責」。
何か問題が起きたときに、
まず自分たちの伝え方や仕組みに問題がなかったかを考える。
そんな経営者の姿勢を見て、
従業員も同じような姿勢になっていくのではないでしょうか。
仕事を任せることは、放置することではない
仕事を任せたからといって、すべてを従業員に任せきりにする必要はありません。
途中で進捗を確認したり、困っていることがないか聞いたり、
必要に応じて方向を修正したりする。
そうした関わりも、経営者の大切な仕事です。
「任せる」と「丸投げする」の違いは、従業員に仕事を渡した後ではなく、
渡す前にどれだけ考え、整理し、伝えたか
にあるのかもしれません。
従業員に仕事を任せたいのであれば、まずは経営者自身が設計図を作る。
その設計図を共有し、従業員が自分で考えて動ける環境を整える。
そうすることで、会社は少しずつ「経営者が全部やらなければ回らない会社」から変わっていくのではないでしょうか。
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