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社会保険制度について

標準報酬月額

康保険・厚生年金保険では、被保険者が受けるさまざまな報酬(給料など)の月額を、一定の金額幅で区分した標準報酬月額にあてはめて事務処理をしています。
この標準報酬月額をもとに保険料の額が決められ、年金・手当金などの給付もそれをもとに計算されます。

 1)標準報酬月額の区分

標準報酬月額は、次の区分で定められています。(健康保険は平成28年4月改定、厚生年金保険は平成28年10月改定)

① 健康保険 第1級58,000円~第50級1,390,000円
② 厚生年金保険 第1級88,000円~第32級650,000円

なお、①の健康保険の標準報酬月額の上限に達した人が毎年3月31日の時点で全被保険者1.5%をこえ、その状態が継続すると認められるときは、厚生労働大臣は社会保障審議会の意見を聞いて、その年の9月1日から政令で標準報酬月額の上限を改定することができます。
また、②の厚生年金保険の等級区分についても、平成16年の年金制度改正により、毎年3月31日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の2倍に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額をこえ、その状態が継続すると認められるときは、その年の9月1日から、健康保険の標準報酬月額の等級区分を参酌して、最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができるものとされました。
また、同じ改正の平成17年4月施行分で、3歳未満の子を養育する被保険者の標準報酬月額が、子を養育するに至った日の属する月の前月の標準報酬月額(従前標準報酬月額)を下回った場合は、申出により従前の標準報酬月額を老齢厚生年金の額の計算の基礎となる標準報酬月額とみなされる特例がもうけられました。

2) 標準報酬月額を決める時期と有効期間

① 資格取得時決定

被保険者になったときの標準報酬月額は、原則として、提出された「被保険者資格取得届」に記載されている報酬月額をもとに決定されます。
ア 1月~5月の決定はその年の8月まで使用
イ 6月~12月の決定は翌年の8月まで使用

② 定時決定

毎年1回、原則として7月1日現在の被保険者全員について、4月・5月・6月に受けた報酬をもとに標準報酬月額が決定されます。
この定時決定のために提出する届書を「算定基礎届」といいます。※9月から翌年8月まで使用

③ 随時改定

昇給など、報酬月額に著しい変動があったときは、当該変動月以降の継続3か月間の報酬をもとに標準報酬月額が改定されます。
この随時改定のために提出する届書を「月額変更届」といいます。
ア 1月~6月の改定はその年の8月まで使用
イ 7月~12月の改定は翌年の8月まで使用

④産前産後休業等終了時報酬月額の改定

産前産後休業を終了した被保険者が、産前産後休業終了日において当該産前産後休業にかかる子どもを養育するときは厚生労働省令で定める申し出により改定されます。
ただし、産前産後休業終了日の翌日に育児休業等を開始している被保険者はこのかぎりではありません。
ア 産前産後休業終了日の翌日から起算して2か月を経過した日の属する月の翌月からその年の8月まで使用
イ 翌月が7月から12月までのいずれかの月である場合は、翌年の8月まで使用

⑤育児休業等終了時報酬月額の改定

育児休業等を終了した被保険者が、育児休業等終了日において3歳に満たない子を養育するときは「育児休業等終了時報酬月額変更届」により改定されます。
ただし、育児休業等終了日の翌日に産前産後休業を開始している被保険者はこのかぎりではありません。
ア 育児休業等終了日の翌日から起算して2か月を経過した日の属する月の翌月からその年の8月まで使用
イ 翌月が7月から12月までのいずれかの月である場合は、翌年の8月まで使用

3) 報酬の範囲

健康保険・厚生年金保険でいう報酬とは、金銭・現物を問わず、被保険者が事業主から労働の対償として受けるすべてのものをいいます。

① 金銭で払われるもの

給与のほか、超勤手当、家族手当、通勤手当など名称は何であっても労働の対象であれば報酬となります。

② 現物で支給されるもの

衣服・食事・住宅または自社製品というように報酬の一部が現物で支給される場合がありますが、これも報酬となります。
衣服・食事・住宅については、都道府県ごとに標準価額が定められていますので、それにより金銭に換算し報酬に算入します。

4) 報酬の対象とならないもの

① 臨時・一時的に支給されるもの(大入袋、退職金等)
② 事業主から恩恵的に支給されるもの(各種の祝金等)

 

標準賞与額

健康保険・厚生年金保険では、被保険者が受ける賞与についても標準月額報酬と同様に、標準賞与額というものにあてはめて事務処理をしています。
この標準賞与額をもとに保険料の額が決められ、年金・手当金などの給付もそれをもとに計算されます。

5)標準賞与額の決定

標準賞与額の決定賞与が支払われたときは、標準賞与額に基づいて保険料が算定されます。
標準賞与額は、その月に支払われた賞与の額となりますが、その額に1,000円未満の端数が生じたときは、これを切り捨てた額となります。
健康保険の標準賞与は、年度内(4月1日~翌年3月31日)の標準賞与額の累計額が573万円をこえるときは、その月に受ける標準賞与額の上限は573万円とされ、その場合、残りの年度内に受ける標準賞与額は0となります。
また、厚生年金保険は1か月につき150万円が上限額となります。
なお、前記1)の標準報酬月額の等級区分の改定が行われたときは、同時に標準賞与額の上限も改正されます。

6)賞与の範囲

健康保険・厚生年金保険でいう賞与とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他、どのような名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのもののうち、年3回以下支払われるものとされています。
したがって、賞与・決算手当などあわせて年4回以上支払われていれば、賞与ではなく標準報酬月額のもととなる報酬となりますので、注意してください。

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